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男子高校生×女子大生 ジェンダーを知るワークショップ

2023.12.01

学生と男子高生とのグループワーク

11月9日(木)、東京都新宿区の成城高等学校の男子高校生と人間社会学部社会福祉学科の学生が、「ジェンダーを知る」ことをテーマとしたワークショップを行いました。同学科の永井暁子教授と黒岩亮子准教授のゼミに所属する学生5名が成城高等学校の図書館を訪れ、男子高校生12名とジェンダーについて話し合いました。

成城高等学校は、1885年に創立した139年の歴史を持つ男子校です。第9代澤柳政太郎校長は、後に東北帝国大学の総長となり、日本で初めて大学(帝大)に女子の入学を許可しました。その3名のうちの一人である丹下ウメ博士は、日本女子大学の卒業生であり、今でいうリケジョの先駆けとして多くの功績を残しています。

ワークショップの冒頭には、及川教頭先生から「澤柳校長と日本女子大学の創立者成瀬仁蔵先生は、お互いに教育者として交流を深めていました。そうしたご縁などもあり、本日は日本女子大学生の皆さんにお越しいただきました。ぜひこの機会に多様なものの見方や考え方、価値観が存在することを意識してみましょう。そして、将来にわたりそれらを吟味し、相対化し続けていくことの大切さに気付くきっかけとしてください」とのお話がありました。

及川教頭先生のお話を真剣に聞く生徒?学生たち
及川教頭先生のお話を真剣に聞く生徒?学生たち

ワークショップでは、3グループに分かれて「男らしさ」と「女らしさ」についてグループワークを行いました。「筋肉質で背が高いと男らしい」「リーダーシップがあり一家の大黒柱、家族を守る使命感に男らしさを感じる」「良妻賢母」「家族のために献身的になってくれるイメージが女らしさにはあるのかもしれない……」といったさまざまな意見があがったり、ココ?シャネルやマザー?テレサなど歴史上の人物を例に挙げて説明をしたりする姿も見られました。

活発なグループワークでは自然と笑顔がこぼれる
活発なグループワークでは自然と笑顔がこぼれる

グループワークの議論が深まっていく中で、「さっぱりしている方が男らしいと発言したけれど、自分自身は根に持つ方かもしれない……」と話す高校生の発言に、「『らしさ』は人によって異なるのかもしれないね」と大学生が話す場面もあり、「実は社会的に求められている『らしさ』に、自分たちは縛られているのかもしれない」といった議論に発展していきました。

さまざまな視点から「男らしさ」と「女らしさ」について考える
さまざまな視点から「男らしさ」と「女らしさ」について考える

グループワークの後には、日本女子大学現代女性キャリア中国福彩app官方下载所の所長も務める永井教授より、学生と生徒たちへ向けて講演が行われました。

永井教授の講演内容(抜粋)
現代における「家族」という概念は、実は明治時代にできたものです。それ以前は「家長以外の、その家に属する者」という意味でしか使われていませんでした。「家族」のような普遍的と思われているようなものでも、時代や地域によって解釈は異なります。
先ほどのグループワークで男らしさの一例として挙げられていた「リーダーシップ」には、皆さんがイメージするような男性らしいぐいぐい引っ張っていくような「リーダーシップ」の他にも多様な形が存在します。例えば、周りとの調和を取りながら物事を進める「協調型のリーダーシップ」では、女性がその役割を担うケースも目立ってきています。
今日みなさんがお話しされていた「男らしさ」「女らしさ」も、実は特定の集団で共有されているだけの実態のないものなのです。そしてそこには、常に社会が求める「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見や思い込みから偏ったものの見方をしてしまうこと)」が存在します。アンコンシャスバイアスは、無意識に相手を傷つけてしまったり、自分自身の可能性を狭めてしまったりと、ネガティブな影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
今日の話し合いの中でも、さまざまなアンコンシャスバイアスが引き起こす矛盾をそれぞれに感じられたのではないでしょうか。私たちは日々さまざまなアンコンシャスバイアスに縛られています。このような機会を活用しながら、常にバイアスが存在することを意識し、向き合い、アンテナを張って感度を上げることが大切なのです。

学生たちに語りかける永井教授
学生たちに語りかける永井教授

今回のワークショップに参加した学生からは、「男子校?女子大という環境にいるからこそ、気が付けるジェンダーバイアスがあるのではないかと思った」「ジェンダーバイアスをなくすことはできないけれど、どう向き合っていくのか考えるために、さまざまな知識をつけて広い視野を身につけることで、より良い社会を創りたい」といった感想が聞かれました。今後も成城高等学校と本学は定期的にワークショップを開催することで、ジェンダーについての理解を深めていく機会を創出していきます。