日韓の架け橋になりたい! 韓国留学中に「SETOフォーラム青年アカデミー」参加
2024.03.13
2023年5月~11月の7か月間、韓国ソウルにてSETOフォーラム青年アカデミーが開催され、人間社会学部現代社会学科3年岡野萌(おかのもえ)さんが10か月間の韓国留学期間を活用して参加しました。
「SETOフォーラム青年アカデミー(以下、青年アカデミー)」は、政治や経済、メディアなど各界の専門家が集まって日韓両国間の各分野の関係強化と北東アジア地域の円滑な繁栄基盤づくりを目指す社団法?SETOフォーラム(SEOUL-TOKYO FORUM)が主体となり、未来の日韓関係の発展に貢献できる若い人材を育成することを目指すものです。
今年度、第3期を迎えた青年アカデミーには、日韓の大学生?大学院生および社会人を対象に受講生50名が募集され、講演や討論会など充実したプログラムが用意されました。日本人学生として唯一、本格的に参加した岡野さんに参加動機やプログラム内容、留学での学びについてお話を伺いました。
——青年アカデミーに参加したきっかけを教えてください。
私は2023年3月から10か月間、協定大学である韓国の梨花女子大学に留学していました。韓国では3月から新年度が始まるので、私はそれに合わせて留学し、大学3年生としての1年間を韓国での留学生活にあてました。青年アカデミーについて知ったのは留学中です。日本女子大学の国際交流課から「今、韓国にいるのだから参加してみない?」と連絡をいただいた私は、留学期間を「人生で一番勉強する時間」と位置付けていたので、すぐに応募を決めました。ほとんどが韓国の社会人だったので、今思うとハードルが高い挑戦だったのかもしれません。しかし、当時は韓国で掴めるチャンスは全て掴もうと考えていたので、不安よりも楽しみな気持ちが強かったです。
——青年アカデミーのプログラムの中で、とくに印象深かったものは何でしたか?
青年アカデミーには10回以上の日韓に関わる講演と、歴史紀行、集中討論会などの充実したプログラムがあり、私はその全てに参加をしました。とくに印象深かったのは、元東亜日報(韓国の朝刊新聞。三大紙の一つ)編集局長や韓国未来中国福彩app官方下载院(韓国の人口に関して中国福彩app官方下载する機関)院長による講演です。「言論が日韓関係に作動する原理」や「日韓の人口問題」についてなど、問題に直面する現場で働いていらした方から直接お話を伺えたので、日本で読んだ関連書籍よりも具体的で最新の情報を学ぶことができました。
写真左から 歴史紀行でソウル市内の日本関連史跡を探訪/青年アカデミー修了式で証書を受け取る岡野さん
——青年アカデミー参加や韓国留学を通して、韓国と日本の関係について、考えたことや感じたことはありますか?
個人間での交流は決して無力でないということを感じました。今回私は留学先である梨花女子大学に通う友人ができました。友人とは大学内で過ごすだけではなく、韓国の釜山(プサン)や日本へ旅行して、お互いの家族に会うことも。日韓の外交関係はいつも良いわけではありませんが、私が出会った韓国の方々は日本のアニメや言葉に詳しかったり、ほぼ全員が日本旅行していたりと、個人間の関係はとても良好でした。
また、私は日韓の歴史に関する授業を受けていて、その中には日本が韓国を統治していた時代の歴史も出てきました。印象的だったのは、韓国の学生が両国の立場で考えていたことです。日本人も1人ひとりが自分ごととして考え、個人間の繋がりをより密にすることで、国家間も良い関係を築けるのではないかと感じています。
——今回の青年アカデミー参加、そして留学全体の収穫は何ですか?
青年アカデミーでは、日韓関係をさまざまな角度から学べたことと、受講生である韓国の社会人の方々の前で韓国語で意見を述べ、討論できたことが貴重な経験だったと感じています。私は大学3年生の10か月間で留学するにあたって、就職活動に遅れが出るのではという不安や焦りを抱えていました。そうした中で、さまざまなキャリアを築いておられる韓国の社会人の方々から、キャリア形成について伺えたことは自分の将来を考える上で大きな収穫でした。
また留学全体を通した最大の収穫は、語学力向上と専門知識の深化です。梨花女子大学で留学生は基本的に英語で行われる授業を履修することが多いようですが、私は韓国語での授業を多く受けていたので、100人の受講生がいる講義で唯一の留学生だったなんてことも。韓国の学生が一生懸命に取り組む姿に刺激をもらいながら、私も一緒に受講してディスカッションを重ねることで、スキルアップできたと思っています。
——充実の留学生活でしたね。韓国留学は、いつから考えていたのですか?
私は日本女子大学附属豊明小学校から附属中学校、附属高校、日本女子大学と外部受験を経験せずに進学していて、小学生のころには「日本女子大学には4年間で卒業できて韓国に行ける制度があるらしい」と意識していました。なぜなら、K-POPや韓国ドラマにはまって韓国が大好きになっていたから。その後、中学校、高校と進学する中で、勉強だけではなく、文化祭実行委員の活動と韓国のアイドルへの推し活にも多くの時間を費やしました。高校では文化祭実行委員長として奔走し、コロナ禍での文化祭を企画?運営。それと同じくらいの熱量を注いだ推し活では、K-POPや韓国ドラマを繰り返し視聴したり、中学3年生のときはダンスイベントのために夏季休暇で韓国へ行ったり。推しの言葉が分かるようになりたいという一心で、独学で韓国語を学んでいた私は、大学1年生で初めて受けた韓国語の検定試験(TOPIK)にて最高評価「6級」を獲得。留学中も困らないほどの韓国語スキルが身についていました。周りの目を気にすることなく好きなことにとことん打ち込めたのは、日本女子大学の附属校出身ならではかもしれません。
——今回の経験を今後、どう生かしていきたいですか?
私はかなり前から漠然と、日韓の架け橋的な存在になりたいという目標を持っていました。そのためには日韓の正しい情報を学び、発信し続ける必要があると考えています。今回の韓国留学の経験を周囲に伝えることもその1つ。また卒業論文は、留学で得たものを生かして在日コリアンの方々がおかれている状況について執筆する予定です。
また、青年アカデミーで出会った日韓関係を良くしたいと考える方々、そして韓国で出会った友人との繋がりは私にとって財産です。そうした繋がりの中でこれからも学び続けていきたいと思っています。
——留学を考えている方へのメッセージをお願いします
私にとって留学は、かけがえのない経験でした。現地の大学で思いっきり勉強し、同世代と交流することは、大学生の今しかできません。帰国後の就職活動や卒業など、不安は付きまとうかと思いますが、それらは多少時期が違っていても出来ることだと思います。留学を迷っている方がいらっしゃるならば、ぜひ貴重なチャンスを生かしてほしいです。
また、既に留学を決意している方には、留学さえすれば良い経験が積めるわけではないということもお伝えしたいです。海外での生活自体が貴重な体験ではありますが、やはり一生懸命に留学先の大学で授業を受けたり、現地の学生と交流する場に積極的に参加したりすることで、より充実して後悔のない留学生活を送れると思います。私は留学中の前期に、大学の授業と月に数回のアカデミーだけしか参加せず時間を持て余していました。「このままでは韓国に来ただけで終わってしまう」と危機感を感じ、後期にはインターンや翻訳プロジェクトに参加。今振り返ると、忙しい日々で大変なこともありましたが、その分、充実した時間を送れたと感じています。
留学を迷われている方、留学を目指している方が、後悔のない留学生活を送れるよう、心から応援しています!