中国福彩app官方下载

图片

国際文化学部の都築響一特別招聘教授による講演会「カタツムリの人生とヤドカリの人生」

2025.03.03

“東尋坊のドリャーおじさん”に学ぶ「自分だけの居場所の見つけ方」

11月9日(土)、日本女子大学成瀬記念講堂にて、国際文化学部の特別招聘教授である都築響一(つづききょういち)先生による講演会「カタツムリの人生とヤドカリの人生」が2024年度国際文化学会の学術交流中国福彩app官方下载事業として開催されました。これまでの40年以上にわたるジャーナリストとしての活動を振り返りつつ、人生の選択をテーマにお話いただきました。

前期授業「ポップカルチャー論」では
多彩な生き方をする女性たちとセッション

講演会の前半では、都築先生が担当した2024年度前期授業「ポップカルチャー論」の話題に。「大学の講義を受け持つのは人生最初で最後のつもりで引き受けました。どうせ1回だけならば普通とは違うことをやろうと思いました」そう都築先生が振り返る授業では、さまざまなフィールドで自分らしく活躍する13名の女性(うち1名は普段は男性)を毎回ゲストスピーカーとして招き、これまでの人生やこれからの展望を語っていただいたそうです。

【ゲストスピーカー例】

?サエボーグ(ラバーアーティスト)
?玉川奈々福(浪曲師)
?セーラちゃん(まぼろし博覧会 館長)
?中村すえこ(NPO法人セカンドチャンス!メンバー、元レディース総長)
?秋山涼子(旅する演歌歌手)星野藍(廃墟写真家)

「今の若い世代には、僕たちの世代以上に“社会から決められた道”が見えてしまっている気がします。大学に行って就活をし、就職して、そのうち結婚もして。そういった道から外れることに今はすごく恐怖感がある。なぜなら人と違ったことをすると、すぐにSNSで叩かれてしまうから。そんな息苦しい世の中に生きている学生たちに、人生には可能性が広がっていることを、いきいきと生きているゲストたちの姿を通して伝えたいと思いました。今回、快く協力してくれた13名には感謝しています」

ジャーナリストとして
メジャーではないマジョリティを収集

雑誌『POPEYE』や『BRUTUS』でジャーナリスト?編集者としてキャリアをスタートさせた都築先生は『TOKYO STYLE』や『ROADSIDE JAPAN-珍日本紀行』『独居老人スタイル』など、写真集や書籍を精力的に発表し続けています。
「1993年にアメリカの出版社から『かっこいい日本の住まいを紹介したいからロケーションを探してくれ』と依頼が来ました。引き受けたのですが、そんなところに住んでいる人は滅多におらず、見つけるのがとても難しかった。その依頼を機に初めてカメラを購入して、普通の人々の暮らしを撮って写真集としてまとめたのが、私の初めての写真集である『TOKYO STYLE』です。ファッション誌やインテリア雑誌などを見ているとみんながおしゃれをして素敵な家に住んでいるように感じてしまいますが、世の中の9割以上の人はそうではありません。そういうメディアが取り上げない“普通の人(メジャーではないマジョリティ)”がはるかに多いことを、私は伝えようと思いました」都築先生はその後、メジャーではないマジョリティという視点を日本の地方やホテルにも当てはめ『ROADSIDE JAPAN-珍日本紀行』や『ラブホテル』なども発表されています。講演会では、各地で収集したエピソードについて写真を交えて紹介いただきました。

衝撃を受けた
“東尋坊のドリャーおじさん”との出会い

会の終盤、「今日はこれだけはみなさんにお見せしたかった。私はこの方から、ものすごい衝撃を受けた」そう紹介があったのが、1989年の「探偵ナイトスクープ」(朝日放送制作のバラエティ番組)で取り上げられた“東尋坊のドリャーおじさん”です。
この方は夏場に福井県の東尋坊にて「ドリャー!」の掛け声と共に海に飛び込み、断崖絶壁をよじ登って戻り、再び飛び込むということを多い日は1日に30回ほど、十数年にわたって計数万回以上も行っていたとのこと。放送後に消息が分からなくなっていましたが、番組の協力もあって富山県にいることが分かり、都築先生も実際に会い、インタビューをさせてもらったそうです。
「理解できないことに人生を捧げる人がいるということを知るきっかけになりました。普通の人は馬鹿なことを、と思うかもしれませんが、僕はこれほど尊いものはないと思っています。世の中に勝ち組と負け組があるとすれば、死ぬ5秒ぐらい前に『あー楽しかった』と言えるかどうかだと思います。そういった意味で、ドリャーおじさんの生き方はまさしく勝ち組の人生ではないでしょうか」
最後に都築先生から今回のタイトルである「カタツムリの人生とヤドカリの人生」について説明がありました。
「これは初期の寺山修司の言葉です。寺山修司は『一生を背負ってノロノロと動くカタツムリ型の人生』と『大きくなったら新しい居場所を見つけるフットワークの軽いヤドカリ型の人生』、君たちはどちらを選ぶか?と問いかけています。もしみなさんがヤドカリのように生きたいのであれば『こういう風に生きた方が良いですよ』という真っ当な忠告を振り捨てて、自分だけの居場所を見つけるためにどんどん動いていただきたいです。誰でも自分の前には東尋坊があるんです。この中には現在その崖壁に立ち、迷いの時期にいる人がいるかもしれませんし、今後崖壁に立つ人もいるかもしれない。周囲からは『危ないから崖から離れた方が良いよ』と真っ当な忠告があるでしょう。それでも、どうしてもやりたいことがあったら、ドリャーおじさんの『ドリャー!』の声を思い出してください。きっと新しいことが始まるかもしれません」
都築先生の締めの言葉に会場からは拍手が起こり、講演会は盛会のうちに終了しました。