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七宝焼きから無機化学を学ぶ

2025.03.05

理学部化学生命科学科2年次選択授業「無機?分析化学実験」

11月15日(金)、八十年館の化学第3実験室にて、化学生命科学科2年次の選択授業「無機?分析化学実験」があり、学生たちは七宝焼きを制作しました。これは本学で20年以上にわたって実施されている伝統的な実習です。

化学生命科学科の実験授業で七宝焼き?

そもそも七宝焼きとはどのようなものかご存知でしょうか。銅、金、銀などの金属素地の上に色ガラスの粉末である釉薬(ゆうやく)を焼き付け加工した美術品であり、エナメルとも言います。歴史はとても古く、紀元前1360年ごろのツタンカーメンの黄金のマスクにも七宝焼きの技術が一部使用されています。
化学生命科学科の授業で七宝焼き制作を取り入れているのは、着色成分に使われる化合物や、制作過程における化学反応について学ぶことができるため。「無機?分析化学実験」の授業を担当する化学生命科学科の佐藤香枝(さとうかえ)教授は、「七宝焼き制作をとおして、無機化学の原理を視覚的に捉える体験ができる」と話します。

3名で1班。班ごとに使用できる電気炉などの実験機材が揃っている/上手くいかないときは先生が親身に指導
3名で1班。班ごとに使用できる電気炉などの実験機材が揃っている/上手くいかないときは先生が親身に指導

実験室で七宝焼きを作る

まずは七宝焼きの土台とする銅板の下処理を行います。銅板の表面には油分などが付着しており、それらを取り除くために必要な工程は「空焼き」と「酸洗い」です。空焼きはステンレス金網の上に銅板を乗せて、800度の電気炉で1分間加熱。それを手袋とピンセットを使って取り出すと、焼き上げた銅板は酸化被膜ができて表面が真っ黒になっています。耐熱板の上で冷ました後は、10%硝酸で酸洗いをします。すると、表面の黒い膜がはがれ落ちて、銅の金属光沢が現れました。酸洗いをした硝酸の溶液は、銅の金属錯体によって青色に変化していきます。

写真左から 空焼き前の銅板/電気炉の小窓からガラスが溶ける様子を観察できる
写真左から 空焼き前の銅板/電気炉の小窓からガラスが溶ける様子を観察できる
写真左から 空焼きした銅板/酸洗いで酸化被膜がはがれ落ちる
写真左から 空焼きした銅板/酸洗いで酸化被膜がはがれ落ちる

銅板の下処理後は、いよいよ釉薬を用いた色付けを行います。釉薬とはガラスの原料(珪石、珪砂など)に金属酸化物(酸化コバルト、酸化マンガンなど)を加えて、一度溶かしてガラス化させて砕いたものです。粉末状のままでは銅板に塗布しにくいため、少し水を加えて混ぜてペースト状にして使用します。それを爪楊枝で銅板に塗って着色。学生たちは均一の厚さで釉薬を塗り広げるのが難しかったり、釉薬の水分量が多すぎて滲んでしまったりと苦戦している様子も見られました。
着色の後は再度、800度の電気炉に入れて1分間焼成させます。焼成前は、粉末状の釉薬を乗せているため銅板の表面がつぶつぶしていましたが、焼成後は釉薬の中のガラスの成分が溶けて、七宝焼きらしい色鮮やかでつややかな表面が現れました。

写真左から 電気炉は取っ手まで高温になるため手袋などの対策が必須/釉薬を重ね塗りし、都度焼成することで色とりどりの作品ができる
写真左から 電気炉は取っ手まで高温になるため手袋などの対策が必須/釉薬を重ね塗りし、都度焼成することで色とりどりの作品ができる

七宝焼きが完成!学生の感想は

七宝焼きは銅板の両面に釉薬を塗り、表面は学生それぞれが思い思いの色付けを行いました。そのため完成した絵柄は、人気のキャラクターから季節のものまでさまざまです。七宝焼き制作を終えた化学生命科学科2年次の学生に感想を伺いました。

 ?釉薬が粉末状だったので、想像以上に描きにくかったです。実験を通して、銅の酸化被膜が溶けた硝酸の溶液がキレイな青になったので、「本当に銅イオンは青いんだ」と実感しました。
 ?七宝焼き制作を楽しみながらも、状態によって変化する金属の色や金属酸化物の色など、普段の授業で学んでいる「無機化学」の原理を目の当たりにできたので、学びが深まりました。
本授業「無機?分析化学実験」で学生が制作した七宝焼き制作の一部
本授業「無機?分析化学実験」で学生が制作した七宝焼き制作の一部

理学部化学生命科学科では、この他にも楽しみながら興味関心を深められる実験授業を多数実施しています。詳細は下記の参考リンクより、本学WEBサイトの化学生命科学科ページおよび化学生命科学科オリジナルサイトをご覧ください。